相木俊宏 大使の着任の挨拶

令和4年1月21日
ご挨拶
 
 このたび、駐タジキスタン日本国特命全権大使として着任しました相木俊宏(あいき・としひろ)です。ドゥシャンベ常駐の大使としては3代目になります。1月21日、信任状の写しをサリム外務次官に提出し、大使としての実質的な活動を開始しました。
 
 長い歴史を持ち、偉大なペルシャ文明の一角を担うタジキスタンに日本国大使として派遣されたことを、大変名誉に感じております。
 
 私は1985年に外務省に入省してロシア語を研修し、旧ソ連地域には様々な形で関わってきました。初めてタジキスタンの地に来たのはまだソ連邦が存在していた1989年です。2015年から2018年まで中央アジア担当外務省特別代表を務め、今回の赴任前にタジキスタンには計3回来訪したことがありました。しかし、住むのは今回が初めてで、大変楽しみにしています。
 
 昨年2021年はタジキスタンの独立及び日本による国家承認から30周年であり、また本年2022年は日本とタジキスタンとの外交関係開設30周年という節目の年にあたります。この間、タジキスタンと日本との関係は常に友好的に発展してきました。近年だけとっても、2015年の安倍総理(当時)のタジキスタン訪問、2018年のラフモン大統領の訪日など、両国間では活発な対話や交流が行われています。タジキスタンと日本の両国民は、お互いを更に知る余地がまだある一方で、互いに良い感情を持っていると言えると思います。
 
 近代独立国家間として関係を発展させてきた過去30年間より以前の歴史においても、日本人にとって現在のタジキスタンが所在する地域は、インドからの仏教の伝播経路とされ、またペルシャ文明の文物など西域の文化が伝来したシルクロードに連なる地として縁がありました。ソグド商人やアフガニスタンにも続く仏教遺跡と聞くと、ノスタルジーにも似た思いを抱かれる日本人の方もおられるのではないかと思います。
 
現代においてタジキスタンは、ユーラシア大陸中央部、「中央アジア」と呼ばれる地域の南部にあって、アフガニスタンや中国とも長い国境を接し、地政学的にも非常に重要な国です。日本は、他国に先駆けて2004年に設立された「中央アジア+日本」対話の枠組みも活用し、タジキスタンの「開かれ、安定し、自立的な」発展と国民生活の向上への支援などを通じながら、これからもタジキスタンとの協力関係を推進していきます。
 
 タジキスタンと日本との関係には未だ生かされていない潜在性が多くあると確信しています。両国間、両国民間の友好的、互恵的関係を今後更に発展させるよう、微力ながら努力して参ります。皆様のご支援、ご叱声をお願い申し上げます。
 
令和4年1月21日
駐タジキスタン特命全権大使
相木俊宏